長い年月をかけて地縁を基に形成された伝統的な地域コミュニティでは歴史的な行事やしきたりを規範とする拘束力がはたらき、そのためにそこに暮らす人々は良いにしろ悪いにしろ強い絆で結ばれていました。しかし、近年の核家族化や社会環境・産業構造の変化による生活圏の拡大や情報化社会の進展などにより、時には地域コミュニティから様々なテーマ型コミュニティへと地理的概念を超えてコミュニティが形成されるようになり、一定の地域に限定されていた人々のコミュニティに対する考えや価値観にも影響を与えています。そして、そのことを一因とする地域コミュニティへの帰属意識の低下、地域社会におけるつながりの希薄化などにより市民の生活に直結する様々な問題が起きるようになってきました。
一方で、これまで単独で活動していた地縁組織や住民活動団体、NPOなどの諸団体が連携して、自らが課題解決に向けて企画し、まちづくりを実践する住民主体の取り組みが各地で見られるようになっています。
そうした中、岐阜地区におけるコミュニティ診断士の活動は、岐阜市総合計画の策定に関わる地域住民の意見交換や岐阜市と岐阜大学が共同研究するソーシャル・キャピタル研究支援業務における地域での聞き取り調査および意見交換会などにおいて、中立的な立場からこれまで培ってきたファシリテーション技術や地域調査能力を活かして、事業の一部を担ってきました。
しかしながら参加の形態、個人の能力などの理由で補助的活動が多く、活動は限定的であり、今後ますます地域のソーシャル・キャピタルを推進し、地域団体や住民同士のつながりを深めて、地域住民自らが意思決定し実行できる地域コミュニティの実現を支援するためには、従来活動に加えて主体的活動へと範囲を拡張していくことが重要となります。
そこでコミュニティ診断士本来の活動への拡大を図るため、コミュニティ診断士のグループによる診断士組織化検討会が平成24年1月に設置され、同年7月までの7ヶ月間をかけて組織の存在の是非、将来性、事業の規模・内容などの議論を重ねた結果、組織化することが診断士の活動を本格化し、社会の要請に応えるために必要であるということが確認されました。
ここに、診断士組織化検討会全員の合意の下に、住民自らが意思決定し、実行できる地域コミュニティの実現に寄与するため、知識・技術の向上に努めるとともに市民・大学・行政との協働関係を維持し、継続的に地域を支援することを目的とする「ぎふコミュニティづくり支援の会」を設立します。
平成24年8月21日
ぎふコミュニティづくり支援の会
設立準備委員